おくりさんからあなたに贈る 「心に響く禅のことば」op.1

2019-04-29

「薫風自南来 (くんぷうじなんらい)  」 ~ 薫風南より来る(くんぷうみなみよりきたる)

この句は唐の皇帝・文宗(827~840)の作られた「人皆苦炎熱 我愛夏日長」という起承の句に、 政治家にして書家でもある柳公権(778~865)が転結の句として「薫風自南来 殿閣生微涼」と続けた一連の詩の中の一句です。

「人は皆、夏は暑いと言って嫌がるが、私は昼の長い夏が好きだ。それに、時折爽やかな風が吹けば、此の宮殿も僅かでも涼しく感じられるではないか。」といった意味です。

その約200年の後、政治家にして詩人・書家の蘇東坡(1037~1101)が、「風が吹き抜けるような 広い宮中で暮らす皇帝には、狭くて風の通りも悪い家に住んでいる庶民の苦しみは分からないのだな。皇帝ならば、皆が薫風自南来と思える世の中になるようにするべきだ」という意味の批判的な詩をかいたことで、元の句が有名になったそうです。

しかしまたその後、この句を聞かれた大慧禅師(1089~1163)が大悟されたことから、禅語として 有名になりました。禅師とちがって悟れていない私が申すのは大変畏れ多いことながら、猛暑の中にあって、暑いだの辛いだのと不平不満で頭の中が埋め尽くされるのではなく、時折吹く僅かな風をありがたく感ずるところが、禅の教えに適っているのですね。

このように元は真夏の句なのですが、「薫風自南来」の一句は、日本では五月の茶席に掛ける句として人気です。寒い北風の吹く冬が終わり、五月ともなれば、新緑の香りを乗せて、暖かくて爽やかな風が心地良いですものね。

私自身は、この句は今年、特にぴったりだと感じました。いま、日本中の人々が、平成から令和にかわるときを節目と感じ、心機一転する良い機会だと感じているのではないでしょうか。御退位あそばす陛下への感謝の気持ち、御即位あそばす新天皇陛下へのお祝いの気持ち。なんだか世の中に新しい風が吹いてきそうな期待感。特別なお正月が来た感じでしょうか。「今日から早寝早起きするぞ」とか「今日から禁煙するぞ」などという決意表明も良いかもしれません。

皆様のところに薫風が吹いてきますように。

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